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10月 05 2016

IT・ソフトウェア開発訴訟のポイント ③特徴

IT・ソフトウェア開発訴訟のポイントのつづき、第3回です。

今回も、東京地方裁判所プラクティス委員会第二小委員会が記された「ソフトウェア開発関連訴訟の手引」を参考にしながら、「類型」について説明したいと思います。

ソフトウェア開発関係訴訟の手引

 

IT関連や、ソフトウェアの開発、あるいはシステム開発(以下では、単に「システム開発」といいます)に関するトラブルは、一つとして同じものはありません。

しかし、システム開発が訴訟に至った場合、内容面から見ると、以下のように類型化できると考えられます(上記のソフトウェア開発関連訴訟の手引において紹介されている類型です)。

※委託者をユーザー、受託者:制作者をベンダーといいます。

 

① ベンダーがソフトウェア開発を完成させたと して請負代金を請求し、これに対してユーザー がソフトウェア は完成していないとして代 金の支払を拒否する類型

※争点:仕事の完成の有無

 

②  ベンダーがソフトウェア開発契約に追加変更 があるとしてその追加代金を請求し、これに対 してユーザーが追加変更契約の存在を否定し追 加代金の支払を拒否する類型

※争点:契約の追加・変更の有無

 

③  ユーザーが、ベンダーが納品したソフトウェ アには欠陥があるとして瑕疵担保責任又は不完 全履行に基づ いて損害賠償を請求する類型 (①の類型で、ユーザーが、仮に完成していても理限癖。 があるため損害賠償債権で相殺する、又は損害賠償債権について反訴請求する類型もある。)

※争点:ソフトウェアに瑕疵 又は不完全履行が あるか否か

 

④  ユーザーが、ベンダーの帰責事由によりソフ トウェア開発が遅延したとして、債務不履行に 基づいて損害 賠償請求する類型(①の類型で、 ユーザーが、仮に完成していても遅延による損害 賠償債権で相殺する、又は損害賠償債権について 反訴請求する類型もある。)

※争点:完成の遅延についてベンダーに帰責事由が あるか否か

 

⑤  ソフトウェア開発が中途で終了した場合において

i  ベンダーが本件ソフトウェア開発は準委任 契約であるとしてその履行割合に相当する報 酬を請求するのに対し、ユーザーが本件ソフ トウェア開発は請負契約であるとして完成していない以上報酬は支払えないとする類型

※争点:締結した契約は請負契約か準委任契約か】

ⅱ  ベンダーが終了時までの報酬を出来高とし て請求し、ユーザーがその査定金額を不相当 であるとして支払を拒否する類型

※争点:ベンダーの作業の出来高

 

以上は、典型的なトラブルの形態を例示したものであり、こ れらが単体で存在することは少ないと考えられます。むしろ、これ らの紛争類型は相互に密接な関係があるため、複合化してより複雑な紛争形態を形成しているケースが多いと考えられます。

 

そのため、上記紛争類型に形式的・機械的に当てはめて審 理しようとすると、かえって審理の混乱・長期化を 招く危険がありますので、結論としては、類型化してトラブルを整理した上で、紛争実態に即して主張と立証を尽くすことが重要、と考えます。

 

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10月 04 2016

IT・ソフトウェア開発訴訟のポイント ②特徴

IT・ソフトウェア開発訴訟のポイントのつづきです。

 

今回も、東京地方裁判所プラクティス委員会第二小委員会が記された「ソフトウェア開発関連訴訟の手引」を参考にしながら、特徴について説明したいと思います。

ソフトウェア開発関係訴訟の手引

 

IT関連、そしてソフトウェアやシステム開発に関するトラブルが訴訟にまで発展しますと、長期化することが少なくありません。

その理由は、ソフトウェア開発訴訟の特徴が影響しています。

ソフトウェア開発訴訟の大きな特徴をご説明します。

 

<1>高度な専門性

ソフトウェアやシステム開発では、高度な専門的技術が用いられています。

さらに、専門用語が複雑であるだけでなく、業界によって、同じ専門用語の意味が若干異なることもあります。

 

<2>不可視性

ソフトウェアやシステム開発は、いわば社会的インフラですが、同じ社会的インフラである道路やビルといった建築物とちがい、電子的情報の集合ですので、現状を直接的に視認することができません。

しかも、ソフトウェアやシステムの量が膨大であることが少なくないため、全体像の把握が困難な場合が多いです。

この点も大きな特徴といえます。

 

<3>立証の困難性

ソフトウェア開発訴訟では、同じ専門訴訟といわれる、「医療過誤訴訟」におけるカルテや「建築訴訟」における確認申請書類といった、定型的な書面・ドキュメントがありません。

しかも、一般的に、IT関連、そしてソフトウェアやシステム開発では、開発当初は仕様の詳細がはっきりせず、開発を進めていくにつれて、仕様も明確になっていくという特徴がありますが、開発の経緯について定型的な書面がないため、関係当事者の認識がバラバラということがあります。

 

そのため、「開発途中で、どういった合意をしたのか?」「仕様が明確になった経緯は?」という点について、立証が困難な場合が少なくないのです。

 

ほかにも様々な特徴がありますが、まとめますと以上3点の特徴があります。

 

では、このような特徴のある、IT関連、ソフトウェアやシステム開発に関する訴訟において、どのような裁判がなされるのでしょうか?

また、その点を踏まえて、ソフトウェア開発やシステム開発において、どのような注意をすべきなのでしょうか?

今後のブログにて紹介したいと思います。

 

 

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10月 01 2016

IT・ソフトウェア開発訴訟のポイント ①「手引」を読む

最近、「IT訴訟」「ソフトウェア開発を巡る訴訟」といった言葉をよく目にします。

 

スマホのアプリや、WEB予約やインターネットで商品を購入するなど、日常的にITやソフトウェアに触れていますので、ある意味では当然かも知れませんが、アプリやサイトの制作や運営に関してトラブルも増加しています。

書籍やインターネット上でも「IT訴訟に勝つ!」、「ソフトウェア開発訴訟の戦略」といったトピックスが多いですが、実際に訴訟になった場合、裁判所はどこに注目して、どのように審理を進めて、判決を下す(下そうとする)のでしょうか?

この点は、東京地方裁判所プラクティス委員会第二小委員会が記された「ソフトウェア開発関連訴訟の手引」(以下、単に「手引」といいます。)が非常に参考になります。

ソフトウェア開発関係訴訟の手引

 

私自身が、ソフトウェア開発関連訴訟(企業間における、ソフトウェアの開発あるいは運営に関する訴訟)を手がける中で感じている点と「手引」とを突き合わせながら、「IT・ソフトウェア開発訴訟のポイント」をまとめたいと思います。

 

※企業が企業に対して、ソフトウェア開発や運営を依頼した場合(ユーザー企業がベンダ企業に依頼する場合や、元請企業が下請企業に依頼する場合)を想定しています。消費者の方が、企業からインターネットを通じて、予約したり商品を購入した場合のトラブルに関する訴訟は想定していません。

 

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9月 28 2015

コスプレと著作権 ④ ~主催者の責任

7月25日から8月2日まで、名古屋にて「世界コスプレサミット2015」が開催されました。

世界各国から、日本のアニメやゲームの登場人物のコスプレをしたチームが参加して、大いに盛り上がったようです。

 

 

このブログでも紹介してきましたが、最近、とくに地方でのコスプレ大会が盛んです。

それにともなって、地方公共団体がコスプレ大会を主催したり、後援(○○コスプレ大会実行委員会が主催し、行政側が後援する)することが増えています。

 

では、コスプレ大会を主催する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

このブログの主題である、コスプレと著作権、という点について考えたいと思います。

 

 

具体的には、以下のケースが問題となります。

<ケース①>

「○○コスプレ大会の主催者が、大会(参加者は有料)の宣伝チラシにAアニメのコスプレの写真を掲載したところ、Aアニメの著作権者が掲載をやめて欲しいと言ってきた」

 

<ケース②>

「○○コスプレ大会にて、参加者がBアニメのコスプレを着用したところ、Bアニメの著作権者が参加者に着用しないで欲しいと言ってきた」

 

 

ケース①では、Aアニメのコスプレの写真が著作権に違反していれば、著作権者から「掲載をやめて欲しい」という請求に応じなければなりません。

 

ケース②では、大会の主催者としては、参加規約などで「参加者と著作権者との一切の紛争は、参加者が自己の責任において解決し、主催者は一切の法的責任を負わない」ことを明確にしておくべきです。

 

コスプレは著作権との関係では曖昧な部分が多いので、コスプレ大会の主催者側は事前に参加規約等を整備しておく必要があります。

 

 

 

 

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9月 22 2015

不倫・不貞の慰謝料額

最近、「不倫の慰謝料額は?」「枕営業って、不貞じゃないから、慰謝料はらわなくてもいいだよね?」といったご相談が増えています。

正式な法律相談というよりも、「友達が困っていて」「知人から聞いたんだけど」といった世間話のような(?)相談といったほうがいいかもしれません。

最近では「判例による不貞慰謝料請求の実務」(弁護士中里和伸 著)といった書籍も出されており、「不倫・不貞の慰謝料」はつねにホットな問題だといえるのでしょう。

そこで、これまで私も弁護士として多くの不倫・不貞による慰謝料請求の問題に対応してきましたので、自分なりの感想も交えながら、「不倫・不貞の慰謝料」の問題をまとめたいと思います。

Q&A形式にて、このブログでまとめていきたいと思います。

<目次>(予定)

1 「どうなったら、不倫・不貞の慰謝料が請求される(できる)の?」

2 「不貞慰謝料が認められない場合はないの?」

3 「不貞慰謝料の相場は?」

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3月 17 2015

コスプレと著作権 ③ パロディとコスプレ

コスプレと著作権に関して、今回は「パロディ」に対する法規制を考えてみます。

「パロディ」とは何か?という問は非常に難しいですが、ここでは広く「既存の著作物を何らかの形で自己の著作物として利用しているもの」とします。
二次的創作物、という表現をする場合もあります。

ですので、前回のコスプレと著作権②で説明した、典型的なコスプレのケースも、「パロディ」に含まれます。

さて、昨年(2014年)8月、「ハイスコアガール」という漫画をめぐって、著作権違反による警察の捜索が行われ、ニュースなどで報道されました。

「ハイスコアガール」を出版した会社(TVゲームで知られ、出版事業も営む)の本社などが、8月2日に大阪府警の家宅捜索を受けたというもの。
同社が発行する漫画「ハイスコアガール」が、著作権侵害の疑いがあるというのが理由です。
大阪のゲーム会社が、「自社が著作権を持つゲームキャラクターを無断で使っている」として刑事告訴した結果でした。

「ハイスコアガール」は90年代のゲームセンターを舞台に、少年少女の恋愛を描くラブコメディー漫画で、実在のゲームが登場するのが特徴です。
そして、漫画の中で大阪のゲーム会社が著作権を有するゲームが登場していました。

もちろん、「ハイスコアガール」のケースが、そのまま典型的なコスプレのケースに妥当するとは思われません。
その理由は、コスプレはあくまでも個人の趣味の範疇で楽しむ、という前提があるので、商業誌に掲載される漫画とは異なると言えるからです。

このような「パロディ」は、「個人の趣味で創作された」場合(コスプレや同人誌)は、刑事告訴がなされても実際に強制捜査まで実施されるかどうかは微妙です。

たしかに「パロディ」であっても、著作権違反となる可能性が高いことは事実です。

しかし他方で日本のアニメが世界から注目され、コスプレや同人誌の盛り上がりがそれを支えていることも事実です。

このような中で、名古屋では多くのコスプレイベントが開催されています。
行政をあげてコスプレを応援している、という状況と言えます。

そして、コスプレイベントの主催者が、ホームページの注意書きなどで第三者とコスプレイヤーとのトラブルは当事者間で解決するものとして、主催者は責任を負わないと明示している場合が見受けられます。
しかし、コスプレイベントの主催者は、イベントの入場料や参加料を徴収する場合もあり、コスプレが著作権違反の可能性があることを知っている場合もあるでしょう。

それであっても、主催者は、著作権者とコスプレイヤーが著作権を巡って争いになった場合に一切責任を負わないのでしょうか?

コスプレに関して想定されるトラブルは、大きく分けて二つあります。
① コスプレの内容について著作権者からクレームが出た場合(たとえば、衣装の内容が過激で不快をあたえるもの など)
② コスプレにより経済的利益を得た場合(たとえば、非常に人気が出たコスプレ衣装を大量に制作して販売する など)

このように、趣味の範疇とはいえ、著作権者に不快を与えたり、経済的損失を受けるおそれを発生させた場合、トラブルに発展するおそれがあります。

そのため、主催者側においても、トラブルを未然に防ぐために参加規定を明示するなど、一定の対策が必要ではないかと考えます。

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2月 28 2015

コスプレと著作権 ② ~著作権の内容である、翻案権

さて、コスプレと著作権の続きです。

まず、「著作物」とは、簡単に言うと「思想または感情の創作的表現」です(著作権法第2条1項1号)。

アニメのキャラクターも、「著作物」に含まれます。

では、アニメのキャラクターを真似て、自ら衣装を作成し、自ら着用して(かつらやメークも行い)公共の場所を歩く、という典型的なコスプレは著作権法に違反するのでしょうか??

アニメのキャラクターを生み出した著者は当キャラクターの著作権者となりますが、著作権の内容として、著作物を「変形」させたりするという翻案権があります(著作権法27条)。

ですので、当アニメのキャラクターを「変形」させることは、著作権(の内容である翻案権)を侵害するおそれがあります。

したがって、典型的なコスプレは、著作権法に違反するおそれがあります。

※もちろん、自ら新しいキャラクターを考案して、その衣装を着用して公共の場所を歩くことは、なんら著作権法違反ではありません。

ただ、ある有名なアニメのキャラクターやそのアニメの世界観に影響されて、新しいキャラクターを考案した、という場合には「グレー」な場合あるのではないかと考えられます。

では、著作権法違反するコスプレの場合に、どのような問題があるでしょうか?

一番大きな問題は、著作権法違反として刑事罰が科されるという点かと思われます。

この点は、大きく2つに分けて考える必要があります。

① 自らアニメキャラクターを真似た衣装を作り、自らの着用する。

② アニメキャラクターを真似た衣装を大量に作り、第三者に販売する。

②のケースは、よく刑事罰を受けたり、強制捜査を受けたりということが、最近でも話題になります。

では、①のケースはどうでしょうか?(実際、典型的なコスプレは①のケースです)

このケースで刑事罰が科されることは少ないのではないか、と感じています。

その理由は、現状の著作権法の刑事罰の大部分が「親告罪」であるため、著作権者が刑事罰を科してほしいと申告しない限り、捜査すら開始しないからです。

実際上、アニメの著者としても、ファンの方々が自ら衣装を作成して、楽しみとして着用するという範囲にとどまるのであれば、刑事罰を科してほしいと申告はしないと考えられます。

ただ、最近、著作権法の親告罪という規定をやめて、すべて非親告罪とする改正の動きがあるようです。

仮に、そのような著作権法の改正がなされると、今までは、ある意味ではコスプレに対して寛容だった状況が終了し、コスプレ会場で告訴が乱発するという事態を招きかねないと危惧されます。

今後の著作権法の改正とコスプレを巡る動向に注目していきたいと考えています。

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2月 18 2015

コスプレと著作権 ① ~ある行政機関(地方自治体)からの相談

久しぶりにブログを更新します。

最近、「コスプレ」に関する相談が増えています。

「コスプレはマニアの世界」というのは一昔前の話。

最近は、ハロウィンのときにコスプレで街を歩くという光景も珍しくなくなりました。

また、地方の行政機関(地方自治体)や市民団体がコスプレ大会を主催して、一種の「まちおこし」のような大会とすることも増えています。

けれども、私自身は著作権の事件を扱う中で、漠然と「コスプレって本当に著作権法に違反しないのかな」と思っていました。

そうしたところ、ある行政機関(地方自治体)から、「コスプレは、著作権法に違反しませんか?」と真正面から相談してきたのです。

次回以降、コスプレと著作権について、ディープに考えていきたいと思います。

ご不明な点などありましたら、是非ご相談下さい。

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2月 03 2013

円滑化法終了と再生・倒産 ②破産と事業譲渡スキーム

 事業再生について、私が関わった事案について紹介します(守秘義務

の関係で詳しくは紹介できませんが)。

 それは、自己破産と事業譲渡を組み合わしたスキームでした。

 自己破産と事業譲渡というと、少し耳慣れないかもしれません。

 

 とある木材の販売企業(A社とします)が、安い輸入木材に押され、需要

の落ち込みもあり経営不振に陥り、熟慮の結果やむをえず自己破産の

申立をすることになりました。

 しかし、A社の優良な部門や資産が切り売りされてしまうと、価値が

著しく下落してしまい、今まで勤めてきた腕のいい職人たちも離職となる。

 そこで、つきあいのあった同業他社に事業譲渡をすることになりました。

 具体的には、以下の流れで事業譲渡がすすみました。

  

 ① A社が裁判所に自己破産の申立→管財人が選任

 ② 管財人と協議した上で、A社の一部を事業譲渡

 ③ 譲渡代金は管財人へ→配当原資

 破産と事業譲渡・不動産譲渡スキーム

 

 さらに、A社の代表者は、A社の債権者(金融機関)の連帯保証人と

なっており、自宅の土地建物は金融機関の抵当権が設定されていま

した(中小企業の場合、代表者の個人保証と自宅に抵当権設定がなさ

れることがおおいと思います)。

 A社の代表者自身も自己破産となったのですが、自宅の土地建物は

事前に親族に協力を要請した上で、管財人の許可を得て任意売却

をすることができました。

 

  このスキームの主なメリットは2点です。

・A社の優良事業を同業他社に譲渡し、事業を生かすことができたこと

(結果、A社の従業員の雇用を守ることができた)。

・A社代表者の自宅を親族に任意売却することにより、代表者とその家族

の生活を守ることができた。

 ただ、自己破産という最終的な事態にまで陥ってしまったことは、やはり

デメリットは大きいといえます。

 今にして思えば、自己破産せざるを得ない、そうなる前に事業再生の手段

について検討できればよかったと思います。

 事業譲渡のスキームの参考になればと思います。

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2月 03 2013

太陽光発電と契約 ②公共施設の屋根貸し

 2013年2月3日付け日経新聞朝刊の社会面に、「太陽光発電パネル

設置 学校屋根貸し出し 愛知県が企業に」という見出しの記事がありま

した。

 記事によると、愛知県は2013年度から県立学校などの公共施設の

屋根を太陽光パネルの設置場所として民間企業に貸し出すとのこと。

具体的な賃料や対象はこれから詰めるとのことです。

 最近、地方自治体が保有している土地について、メガソーラー事業へ

の活用がよく話題になります。

 当ブログの太陽光発電と契約①で書いたように、太陽光発電において

は「場所の選定」が決定的に重要です。

 そして、地方自治体が保有している土地などの公有財産については、

一般の土地建物とは異なる、特有の問題があります。

 地方自治法上、公有財産はふたつに区分されます。

①行政財産:行政目的のために保有しているもの

②普通財産:①以外のもの

 ①行政財産である土地・建物は、原則として私権の設定が禁止され

るため通常は「使用許可」によることになります(地方自治法238条の4)。

 また、「使用許可」を得たとしても、通常、1年更新であることが多いため

長期間の利用を前提とする太陽光発電事業の実施のためには安定的

とはいえないでしょう。

 他方で、②普通財産の土地・建物であれば、私権の設定に制限はあり

ません。

 ただ、通常は、各自治体の条例において財産管理規則が定められて

おり、賃貸借の期間を短期に定め、更新を要する場合が多いといえます。

 加えて、①行政財産の使用許可、②普通財産の賃貸借いずれも、公用

の必要による許可取消または解除が法律上認められています(地方自治

法238条の4第9項、同238条の5第4項)。

 太陽光発電は、長期間での安定的な場所の利用が前提となりますの

で、公有財産においては、特有の問題について十分に検討する必要が

あります。

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